宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


「あの、結瑠」


 しばらくはカチャカチャというスプーンの音だけが響いていたが、宝さんが改まった様子でスプーンを置く。


「今日のことなんだが」


 その時、ブーブーという大きな音が鳴った。
 宝さんのスマホが震えている。誰かからの通話があったようだ。


「電話、出てください」

「いや、いい」

「でも仕事の電話かもしれないし」

「……」


 宝さんは少し渋い顔をした後、席を立って通話しに行った。
 私は内心ものすごく安堵している。

 だってあの雰囲気、あのことを話そうとしていたわよね……?

 どうしたらいいんだろうとは思っていたけど、急にこられると緊張してしまう。
 ダメだな、私は。いざという時に意気地なしなんだから。

 それにやっぱり、さっきの女性のことが気になってしまう。
 いっそのこと聞いてみちゃう?


「結瑠、すまない。明日急に会食になった」


 一人で悶々とカレーを食べていたら宝さんが戻ってきた。


「あ、そうなの」

「明日は夕飯は食べれないし作れない。すまんな」

「全然大丈夫」

「それで結瑠、」
「ごめんね、宝さん。明日も早いの!お風呂入って先に休ませてもらってもいいかな?」

「そうなのか。片付けはやっておくから任せてくれ」

「ありがとう。カレーはまだ余ってるから明日の朝も食べてね」

「朝にも食べるのか?」

「あら知らない?カレーは一晩寝かせた方が美味しいのよ」


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