宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
気に入ってくださったようでよかった。
何より隼人様が話し合いに参加してくださるようになったのが嬉しい。
馬車にガラスの靴の手配、どのように運び出して沙耶香様に乗っていただくか。まだまだ検討することは多いけど頑張ろう。
お二人に笑顔で挙式を終えていただくために。
打ち合わせを終えて遅めのランチを食べに行った。
たまには奮発しちゃおうとホテルの近くにあるカフェでおしゃれなサンドイッチセットを注文した。
朝早くてお弁当を作る暇がなかったけど、たまには自分のご褒美になっていいかもね。
ちょっとした贅沢ができて気分もリフレッシュし、もうひと頑張りしようとカフェを出たところで、思わず目を奪われた。
「……宝さん?」
車道を挟んで反対側に宝さんらしき人が歩いていた。
後ろ姿だけどわかる、あれは間違いなく宝さんだ。
「……!」
宝さんは若い女性と並んで歩いていた。
昨日訪ねてきた女性だろうか。
急に胸がざわつき始める。
何だかとても仲が良さそうに見える。
彼女は一体誰なんだろう。どんな関係なのだろう。
いや、今は仕事に集中しないと!
私は今見たものを無理矢理頭の中から消した。
「――白金さん、大丈夫?」
先輩の言葉でハッとした。
戻ってからデスクで事務作業をしていたら、先輩が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「さっきから心ここに在らずって感じよ?」
「す、すみませんっ」
「白金さん、疲れてるんじゃない?大丈夫?」
「大丈夫です!」