宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
9.全てをあなたに
「かんぱ〜い!」
「乾杯」
私は今、マミちゃんの部屋にお邪魔している。
あの後マミちゃんに電話して情けなくもボロ泣きしてしまい、心配したマミちゃんが家に呼んでくれた上に泊まらせてくれることになった。
後輩の厄介になるなんて先輩としてあるまじきことだけど、とても有難い。お言葉に甘えてさせてもらい、今は二人で缶ビールを空けて夕食を食べているところ。
お惣菜とかおつまみとかいっぱい買って行った。
「ほんとにごめんね、マミちゃん」
「全然大丈夫ですけど、何があったんですか?」
「実は……」
私はここ最近のことを全部話した。
「えーーっ!海松町真凛と婚約ってほんとなんですか?」
「二人でデートしてるの見ちゃったの。それに偶然真凛さんに会ったけど、薬指に指輪してたし大好きな人がデザインしたって言ってた」
「右手じゃなくて?」
「左手だった」
「そうなんですか」
マミちゃんはうーん、と眉間に皺を寄せる。
「てか結瑠先輩にプロポーズしておいて他の女と婚約って最低じゃないですか?マミ、ビンタしちゃうかも」
「ちょ、マミちゃん……!」
「だってそうでしょ?結瑠先輩がこんなに傷ついてるのに」
「……」
マミちゃんが怒ってくれることが嬉しい。だって私は怒れないから。
またじわりと涙が滲み出てくる。
「結瑠先輩、泣かないで」
「だって……っ」
怒りが湧いてこないくらいにショックで悲しくなるなんて思っていなかった。
まだ自分の感情がコントロールできない。