宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 人にはその人にしかない良さがある。あざといと言われるマミちゃんも、それは好かれるための努力をしているからだと思っていた。
 自分にはできないからこそマミちゃんはすごいし、一生懸命なところが素敵だと思っていた。

 それなのに私は、失恋した自分のことを卑下してずっと弱気になっていたんだ。


「ねぇ先輩、ちゃんと宝さんと話した方がいいんじゃないですか?」

「そう、だよね……」


 わかってる、ちゃんと宝さんと話さなきゃいけないってこと。
 わかってるのに、足踏みしてしまう自分は本当に臆病者だ。


「怖いんだ……結婚するんだって言われるのが。宝さんはあの金剛グループの御曹司だし結婚するように言われてたみたいだし……」

「それがなんですか!?結婚しろって言われたくらいで他の女と結婚する男なら、こっちから願い下げですよ!」

「でも、それが宝さんにとっての幸せなのかもしれない」

「じゃあ結瑠先輩はどうしたら幸せになれますか?」

「っ、」


 私自身の幸せは――望んでもいいのなら、私の幸せはこれしかない。


「宝さんとずっと一緒にいたい」


 宝さんのこと、これからも好きでいたい。願わくば私のことも好きになって欲しい。
 宝さんとの宝石みたいなキラキラした生活を、これからも続けていきたい。


< 125 / 167 >

この作品をシェア

pagetop