宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
声もか細く震えていた。聞こえたのかわからないけど、電話口からすぐに宝さんの声が聞こえた。
『結瑠!!今どこにいる!?』
宝さんはものすごく慌てているようだった。
そういえば何の連絡もせず、マミちゃんの家に来てしまった。
「ごめんなさい、後輩の家に泊まることになったの連絡し忘れてました」
『そうだったのか……家にいないから心配した』
声だけでも安堵しているのが伝わってきた。
心配してくれて嬉しい気持ちと心配かけて申し訳ない気持ちが入り混じる。
「ごめんなさい、明日は……」
「結瑠先輩、やっぱり帰ったら?」
帰ります、と言おうとしたらまさかのマミちゃんの言葉に思わず振り返る。
「あーもしもし、結瑠先輩の後輩ですけどぉ。やっぱりお返ししますね」
「マミちゃんっ!?」
「先輩、恋愛ってタイミングが大事なんですよ」
マミちゃんの言葉は何だかとても説得力があった。
マミちゃんの言葉に押されるがまま、宝さんに告げる。
「やっぱり、帰ります……」
そして、今度こそちゃんと向き合うんだ。
怖いけど、しっかり自分の気持ちを伝えなきゃ。
「マミちゃん、本当にありがとう」
「良い報告待ってますね」
私はマミちゃんに何度もお礼を言って、マミちゃんの家を出た。
宝さんは駅まで迎えに行くと言ってくれた。その気持ちが嬉しかったから、お言葉に甘えることにした。