宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
何より早く宝さんに会いたい。
でもまだちょっぴり怖い気持ちもある。
弱気になっちゃダメ、ちゃんと向き合うって決めたんだから。
電車に揺られながら自分に言い聞かせた。
ベリが丘駅に着いて改札を出ると、目の前に宝さんがいた。
「宝さん……!」
「結瑠!」
ああどうしよう、顔が見られただけで泣きそうになっている。
「結瑠、おかえり」
宝さんは優しい笑顔で出迎えてくれた。私の顔を見るなり、自分のマフラーを私に掛けてくれる。
「鼻が赤い。寒かっただろう?」
「……っ」
「帰ったら温かいホットミルクでも飲むか」
「宝さん」
「ん?」
「好きです」
宝さんの目を真っ直ぐに見て伝えた。
夜遅いとはいえまだ人のいる駅前なのに、堪え切れなくて言葉にしてしまった。
宝さんと会ったら、ただ想いが溢れ出てしまっていた。
でもあの時みたくついこぼれてしまったわけじゃなく、どうしても今言いたくなってしまったのだ。
「宝さんが、好きです……っ」
想いとともに涙も溢れ出る。
もっとちゃんと伝えたかったのに、これが私の精一杯だ。
「好きなんです……っ」
溢れた涙はもう止まらない。せっかく宝さんが巻いてくれたマフラーを濡らしてしまうとわかっていながら、止めることができなかった。
「っ、結瑠……!」
そんな私のことを宝さんは抱きしめる。
宝さんの優しい香りと温かさに包まれたとわかった時、もっと泣きそうになった。
「俺も結瑠が好きだ」