宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


* * *


 初めて入った宝さんの部屋は、とてもシンプルだった。
 家具はモノトーンでまとめられており、物は少ない。仕事部屋とは違った完全プライベートな空間なのだと思うと、やたらと緊張してしまう。


「ふっ、そんなに堅くならなくても」

「だって、初めて入るなぁって思って」


 意外にもアロマが置かれてあったり、観葉植物が飾られていたり、何だか高そうな絵が飾られていたりとオシャレな雰囲気もある。
 流石はデザイナーといったところだろうか。


「おいで、結瑠」


 ベッドに座った宝さんは、股の間に座れと促してくる。

 え、ここに……?と思ったけれど、恐る恐るお邪魔した。すぐにぎゅっと後ろから抱きしめられ、宝さんのシャンプーの香りがふわりと鼻孔をくすぐる。

 流石に一緒にお風呂は遠慮してしまったけど、同じ匂いがしてるんだと思うとドキドキしてしまう。


「さて、どこから話そうか」

「真凛さんとはどんな関係なの?」

「まあ幼馴染だな」


 父親同士が友人で仕事の関係も深く、昔から見知った仲なのだという。


「一応ちゃんと言っておくと、元カノでもある」

「そう、なんだ」


 ある程度は覚悟していても付き合ってはいたんだ、という事実にショックを受けてしまう。


「真凛から告白されて高校時代に付き合ったけど、すぐ別れた。やっぱり友達以上には思えなくて」

「あんなに綺麗な人なのに」

「俺を見返すためにモデルになったと言っていたよ」


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