宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 最初は全く気にしていなかった。
 それよりも想いが通じ合えたことが嬉しかったし、毎日惜しみなく愛情表現をしてくれるから毎日満たされていた。

 でも、ふと結婚の話をされなくなったことに気づいた。
 そもそも同居を始めたのも、宝さんとの結婚を検討するものだったはずだ。

 冗談なのか本気なのかわからないくらい、隙あらば求婚していたのに。
 いや、流石に付き合い始めたばかりで今すぐ結婚、というわけではないだろう。今は恋人になった幸せを噛み締めよう、そう思っていたのだけれど――。


「結婚なんてわからない、か……」


 沙耶香様にも曖昧に濁し、更に実のおばへのあの否定。
 想像以上のショックを受けていた。
 あんなに最初から結婚する、なんて断言していたのに。

 やっぱり結婚する気がなくなってしまったのだろうか。
 一緒に住んでみたらやっぱり結婚は違う、って思ったのかもしれない。

 驚きなのは結婚願望なんてなかった私が、ものすごく凹んでいることだ。

 そもそも同居は最低でも、杉石様の結婚式が終わるまでのつもりだった。
 結局付き合うことにはなったけど、これからのことは何も決めていない。

 宝さんはどう思っているのだろう?
 そして私は、自分でどうしたいと思っているのだろう――……。


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