宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 結婚、したいのかな。
 少なくともこの生活が楽しくて、終わって欲しくないと思っているのは確かだ。

 最初は絶対にないと思った。
 生活環境やレベルが違いすぎて一緒に暮らすなんて無理だって。

 そう思っていたのに、こんなに楽しくなるなんて思っていなかった。
 宝さんが私に歩み寄ろうとしてくれたからだ。

 最初こそ強引だったけど、常に私のことを考えて慮ってくれた。いつも私の気持ちを大事にしてくれた。
 宝さんは私のことを大事に想ってくれている。それはわかっている。

 でも、きっと家族は違う。
 おばさまは明らかに私のことを気に入っていなかった。金剛グループ御曹司の恋人が、ただの一般人では不足なのだろう。

 ご両親にも同じように思われたら、私は宝さんの傍にいられないかもしれない。
 私は宝さんには相応しくない。


「――結瑠、どうした?」


 ハッとして顔を上げると、宝さんが心配そうに見つめていた。


「何だか表情が暗いが……」

「違うの、無事に終わって気が抜けてるんだと思う」

「そうか。疲れているのなら、今日は早めに休んだ方が良いな」

「いや、大丈夫!」


 思わず大きめの声をあげてしまった。


「明日は休みだし、ゆっくりできるから……その、宝さんともっと一緒にいたい」


 我ながら大胆なことを口走ってしまい、顔が真っ赤に染まっていくのがわかる。
 恥ずかしいけど、これが本音。もっと近づいて触れ合っていたい。


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