宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
嬉しくて思わず笑みがこぼれていた。
するとその直後、宝さんに押し倒される。
えっ、まさか、今からするの……?
「た、宝さん……?」
「まだ時間あるから」
「いや、でもっ」
「ダメ?」
……その聞き方はずるいと思う。
遅刻するんじゃないかって心配なだけで、本音はもっと宝さんと抱き合っていたいんだもの。
「宝さ……んっ」
私の気持ちを見透かしているように唇を塞がれる。
すぐに舌が絡まり合い、唾液を絡め取られて酸素ごと奪われて。もう何も考えられなくなった私は、宝さんに抱きついて全てを委ねるだけ。
やっぱりダメだ、私は宝さんから離れられそうにない。
離れたくない――。
* * *
「じゃあ行ってくる」
「ん……」
宝さんはまだ起き上がれないでいる私に「寝てていいから」と言い、触れるだけのキスを落として頭を撫でてくれる。
「店の場所は後で送るから」
「行ってらっしゃい……」
布団の中から宝さんを見送る。
まだ下腹部には宝さんがいた感覚が残っている。
こんなに甘くてチルな朝を迎えるなんて。
思い出すだけでまた浸ってしまうけど、そろそろ起きないと。
顔を洗って着替えて、朝食はコーンフレークを食べた。
溜まっていた洗濯物をまとめて洗い、部屋に掃除機をかける。お掃除ロボットもあるけど、自分で掃除機をかける方が私は性に合っている。