宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
我ながらすごく気に入った。
このイヤリングをしていったら、宝さん喜んでくれるかな? なんて考えて一人でニヤニヤしてしまう。
待ち合わせの時刻まではまだ時間がある。
適当にブラブラして時間を潰そうと思ったら、突然声をかけられた。
「――あの、白金結瑠さん?」
「え?」
突然フルネームを呼ばれて驚いて振り返ったら、まさかの宝さんのおばさまだった。
今日もかなり高級そうな質感のセットアップを上品に着こなしていた。
「あ、宝さんの……!こんにちは」
慌てて頭を下げて挨拶する。
「ごめんなさいね、急に。少しいいかしら?」
「あ、はい……」
とりあえず良い話でないことだけはすぐに察した。
* * *
私たちは近くのカフェで話すことになった。
一応コーヒーを頼んだけど、緊張して落ち着かなくて一口も飲めない。
おばさまは一口コーヒーを飲んでから、改まった様子で私を見つめた。
「単刀直入に言うけれど、昨日のことがどうしても気になってしまったのよ」
「昨日のこと、ですか」
「ええ、宝と付き合っているって」
やっぱりそのことか、と息を呑む。
「はい、お付き合いさせていただいてます」
「でも、結婚は考えていないわよね?」
予想以上に直球だった。引き攣りそうになる口角を無理矢理上げて、にこやかに返す。
「……私たち、まだお付き合いを始めたばかりですので、それは何とも」
「そう、付き合いたてだったのね」