宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
ニヤリと悪戯っぽく宝さんに向かって笑うと、宝さんは至って真顔で返す。
「名前だけではないけれど、俺の運命の人だと思っています」
「はっはっはっ!そうかそうか」
ちょっと宝さんったら……!
おじいさまの前でもそんな……。
恥ずかしくて思わず赤くなって俯いてしまう。
「結瑠さんと言ったね。改めて先日はありがとう」
「とんでもございません」
「杉石さんのお嬢さんの結婚式を担当したそうだね。親身になって対応してくれたと、とても喜ばれていたよ」
「あ、ありがとうございます」
まさか相談役直々に褒めていただけるとは思わず、嬉しさと誇らしさで胸がいっぱいになる。
「宝は一度決めると頑固な子でね。融通が効かないところもあるが、真っ直ぐな子なんだ。どうかよろしく頼むよ」
「は、はい……!」
もしかして、宝さんとの交際を認めてくださったのかな……?
おじいさまは踵を返し、チラリとおばさまの方を見やる。
「さて、帰ろうかね史子さん」
「お、お義父さん!いいんですか!?宝にはもっと良い人が……!」
「馬鹿なこと言っとらんで帰るぞ。宝が決めたひとだ、彼女以上の女性はおらんだろう」
おばさまは唇を噛み締め、納得がいかないといった様子だったがおじいさまの後に続いた。
私は嬉しくて目頭が熱くなっていた。
「ありがとうございます!」
去り行くおじいさまの背中に向かって、深々と頭を下げた。