宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 おじいさまの姿が見えなくなるまで見送った後、宝さんが私に向かって謝った。


「また伯母が失礼なことを言ってすまない。祖父がお灸を据えてくれたからもう結瑠に絡むことはないと思う」

「大丈夫だけど、すごくびっくりした」

「俺も驚いたよ。祖父を助けてくれたのが結瑠だったなんて。本当にありがとう」

「いえ、こちらこそ。その、嬉しかった……」


 そういえば宝さん、どこから聞いていたのだろう?
 結婚したいって言ったこと、聞かれていたらどうしよう……。

 私の心配をよそに、宝さんは耳元に唇を寄せる。


「――それと今日の服、すごく似合ってる」

「……!」

「イヤリングもしてくれたんだな」

「だって、特別な日だから」


 そう言うと宝さんはぎゅうっと私を抱きしめる。


「ちょっと……!」
「あーかわいい。どうして結瑠は俺を誘惑するのが上手いんだ?」
「誘惑なんてしてません!」
「いつも誘惑されてるけど」


 くいっと顎を持ち上げられ、熱を帯びた視線を向けられる。まるで私を欲しいと言っているみたいに。

 宝さんが欲しがってくれるのは嬉しいけど、今はダメ!


「そろそろ予約の時間でしょ?遅刻するから!」

「残念。結瑠を食べるのはお預けだな」


 それでも頬に軽くキスはされる。
 一応外なのに……全くもう。

 顔が熱ったままレストランへと向かった。



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