宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 宝さんは堪え切れず、思わずポロポロと涙をこぼす私の左手を優しく取る。


「結瑠が俺と結婚したいと言ってくれたの、嬉しかった」

「!? 聞こえてたの?」

「聞こえてた。顔がにやけそうになるのを必死で堪えてた」


 その表情はちょっと見たかったかもしれない。

 宝さんは左手の薬指にそっと指輪を嵌めてくれた。
 私の薬指にピッタリと嵌ったそれは、よく見ると今しているイヤリングと同じデザインになっている。


「すごい……イヤリングと同じデザインなのね」

「このデザインで指輪は作ってないから、世界に一つだけの指輪だ」

「そうなの?」

「ああ。結瑠のためだけにデザインした」

「嘘……すごく嬉しい」


 嬉しすぎてまた涙が溢れ出る。もっと指輪をよく見たいのに、涙で滲んでしまう。
 視界がぼやける中、宝さんは指で涙を拭い真っ直ぐに私を見つめた。


「結瑠、愛してる。初めて会った時からずっと。
一生傍にいて欲しい」

「……っ、私も…私もずっと宝さんの傍にいたい……っ」

「俺の妻になってくれるか?」

「はい……!」


 思いっきり宝さんの首元に腕を回して抱きついた。
 長くてたくましい腕でしっかりと受け止め、もう離さないとばかりに抱きしめてくれて、私の心は幸福感で満たされる。


< 158 / 167 >

この作品をシェア

pagetop