宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


「もう結婚したくないのかと思ってた……」

「どうして?」

「だって、全然結婚の話をしなくなったから……」

「この指輪を作っていたからだよ。秘密にしたかったんだ。でも不安にさせていたのならすまない」

「ううん、すごく嬉しい……」


 ぎゅうっと宝さんに抱きついたまま、改めて指輪を見やる。
 私のためだけに作ってくれた世界に一つだけの指輪。なんて美しいのだろう。


「あんなに忙しかったのに、いつの間に」

「この指輪自体はかなり前から作ろうと考えていたからな。実は結瑠と再会する前から考えていたんだ」

「ええ!?そうなの?」


 思わず体を離して宝さんを見つめる。


「ああ。このイヤリングがよく似合っていた君が忘れられなくて」

「でも、名前も知らない初対面だったのに?」

「まあその時はぼんやりラフを考えていた程度だったけど。結瑠と再会してから本格的に作ろうとデザインを進めていた」

「気が早すぎない……?」

「言っただろう?絶対に結婚を了承させてみせると」


 ニヤリと微笑み、私の頬をそっと撫でる。

 ――ああ、もうこの人には本当に敵わないな。


「……もう、本当に強引なんだから」

「でも嫌いじゃないんだろう?」

「ええ、大好き」


 どちらからともなく、唇を重ね合わせる。
 触れるだけの短いキスの後お互いに微笑み合い、すぐにまた重ね合わせた。

 このまま時が止まって欲しい――そう願う程に幸せだった。


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