宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
付き合っていないどころか、先程初めて会ったばかりの相手だ。
真面目で優等生のはずだった自分が名前も知らない相手とベッドになだれ込むなんて、予想もしていなかった。
こうなったのは、普段は飲まない高くて甘い酒のせいだ。
「あ……っ」
名も知らぬ彼はまるで壊れ物を扱うかのように優しく私に触れる。
全身にくまなくキスされる度、私の体に緋い印が刻み込まれる。
彼の動かす指先や舌に翻弄され、意識が飛びそうになる度必死に彼にしがみつく。
全身とろとろに蕩けさせられ、ぼうっとする中でピリ、と破く音が聞こえた。
――付けてくれるんだ……。
まどろむ意識の中そんな風に考えていたら、突き上げられるような痛みに襲われた。
感じたことのない痛みに上手く呼吸できずにいると、緊張をほぐすかのように優しいキスが降り注ぐ。
段々と痛みは快感に変わり、ただ求められるがままに私も彼を求める。
まさか初めて出会った人に初めてを捧げることになるなんて。
名前も知らない誰かだけど、こんなに優しく情熱的に抱いてもらえたのなら、初めてが彼でよかったのかもしれない。
私らしくない考えも、きっと酒と甘い空気に流されたせいだ――。
どこか言い訳のように自分に言い聞かせながら、私は意識を手放した。