宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
その人の顔には見覚えがあった。
だって、あのバーで出会って一夜を共にした彼だったのだから。
「……っ」
思わず絶句してしまった。
彼も私に気づくと目を丸くし、穴が空きそうなくらいに凝視する。
恐らく私に気づいたのだろう。
嘘でしょ?こんな形で再会するだなんて思わなかった……!!
「こちら、『クリスタル・ティアーベリが丘』のオーナーにしてジュエリーデザイナーの金剛宝さん。更には金剛グループ社長の弟さんでもいらっしゃいます」
ええっ!?金剛グループ社長の弟!?
「金剛オーナー、こちらが新しく配属になりましたウェディングプランナーの白金です。どうぞよろしくお願いします」
「し、白金結瑠と申します……よろしくお願いします」
ほとんど心ここに在らずという状態で自己紹介していた。
まさか、ワンナイトの相手がうちのホテルを経営する社長の親族だったなんて思ってもみなかった。それもこれから仕事で関わるなんて。
気まずすぎる……どうしたらいいの!?
「――上条さん、少し白金さんをお借りしてもいいですか?」
「!?」
「え、ええ、構いませんけれど……」
「これから一緒に仕事をしていく上で話したいことがありますので。では」
「えっ、ちょっと……!」
金剛オーナーは私の腕をグイッと引っ張り、そのまま別室に連れて行く。口を挟む暇なんてなかった。
私はこれからどうなってしまうのだろう――?