宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
2.強引すぎるプロポーズ
連れて来られたのは段ボールが沢山積まれた備品室のような部屋だった。
「………」
金剛さんは先程からじいっと私を見下ろしている。
一体この沈黙の時間は何なのだ。気まずいどころではない。
まさか、異動初日でクビなんてことは……。
「白金さん、といったか」
「は、はい」
急に名前を呼ばれてシャンと背筋を伸ばす。
ビクビクしながら次の言葉を待った。
「名前は、どう書くんだ?」
「は?」
「名前の漢字」
ええ……まず聞かれることがそれなの?
困惑しつつも答えた。
「白金はそのまま白いに金色。結瑠は結ぶに、王編に留守の留です」
「瑠璃の瑠か」
「そうですね」
「なるほど」
だから何ですか!?と突っ込みたい気持ちを喉元で押し込む。
この人は取引先のオーナーであり、あろうことか勤め先の社長の弟でもあるのだ。
何かあっては私のクビが飛ぶかもしれない。もう手遅れのような気もするけれど。
「灯台下暗しとはこのことだな。まさかホテルの人間だったとは」
「……正確には今日からです。昨日まではダイヤモンドホテルでお世話になっていました」
「なるほど」
ああもう、一体この人は何が言いたいの?
早くはっきり言ってよ……!!