宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
「単刀直入に言う。俺と結婚してくれないか」
いっそ一思いにクビを切って欲しい。いや本当に切られたくはない。
そう思っていたら、告げられた言葉は想像もしていないものだった。
「…………は?」
思わず間抜けすぎる声が漏れ出てしまう。
「俺と結婚して欲しい」
「えっ、えっ……はい?」
私の聞き間違いではない?この人、「結婚」って言ったような気がしたのだけれど。
ポカンとする私とは裏腹に金剛さんは至って真顔だった。
真顔すぎて何を考えているのか全く読み取れない。
「あの、えっと……金剛さん?どういうことでしょうか?私たち、会うのは二度目ですよね?」
「ああ、二度目だな」
「それなのに結婚なんて言われても、わけがわからないんですけれど」
「俺もわけわからん」
――いや何なのこの人!?
あのバーで話していた時は落ち着いていて知的な人だと思っていたのに、目の前の人物は本当に同一人物なのかと疑ってしまう。
「自分でもおかしなことを言っている自覚はある。だが、ずっとあの夜のことが忘れられないんだ」
「え……?」
「朝起きたら四万円だけ置いて消えた君のことがね」
ぴら、と見せられたのは私が置いて行ったと思われる一万円札四枚だった。