宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
「それ、ずっと持ち歩いてたんですか?」
「ああ。突き返して聞きたいと思っていたからな。何故四万だけ置いて消えたのか」
皮肉じみた口調から根に持っているのがひしひしと伝わってくる。
「あれはその、何の足しにもならないとは思いますけど、タダで泊まらせていただくわけにもいかなかったので……」
「四万の価値しかないという意味なのかと思った」
「違います!あの時持ってた現金全部置いただけです」
「なるほど、律儀に宿泊費のつもりだったのか。だがこれは返す。兄が経営するホテルの一室を使っただけだからな」
「……ありがとうございます」
要するに金剛グループの所有物だから宿泊費など不要だったというわけだ。
それでも納得いかないところもあったが、あんな皮肉を言われたのだから素直に受け取っておこうと思った。
そして改めての疑問が浮かぶ。
「それで……どうして結婚なんですか?」
「さっきも言ったが、あの夜のことは忘れられない。この一ヶ月ずっと君のことが頭から離れなかった。そのせいで仕事にも支障をきたす程だ」
そう言って金剛さんはジュエリーのデザイン画を見せる。ネックレスやピアスにイヤリング、指輪などのデザインが描かれていた。
どれも似たようなデザインとなっており、シリーズとして売り出すアクセサリーなのだとわかる。