宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
こんな人だったなんて思わなかった。
たった一夜限りの関係なのに、結婚だなんて。
しかも責任を取れだなんて傲慢すぎやしないだろうか。
そもそも普通は責任を取るのは男性側だと思う。
「結婚なんてお断りです!」
「どうして?」
「当たり前じゃないですか!お互いのこと何も知らないし、今日で会ったのは二度目ですよ?
そもそも私は純潔を奪われた側なのに責任取れだなんてっ」
「やっぱり初めてだったのか」
……今のはつい口を滑らせてしまった。
「とにかく!結婚なんてしませんから!」
「いや、する」
「!?」
「絶対に結婚する」
あまりにも真っ直ぐな瞳で言い切るから、面食らって言葉を失った。
どうしてそんなに澄んだ瞳を私に向けるのだろう。何故何も知らない私と結婚すると言い切れるのだろう。
そもそもこの人はどうして「結婚する」と一方的に決めているの?
私の意思などまるで無視ではないか。
強引すぎるにも程がある。ここまで強引だと呆れ返って言葉もなかった。
「すみません、オーナー。まだお話中ですか?」
部屋の外から上条さんがおずおずと覗いていた。
「そろそろ戻らなければいけないのですが」
「ああ、すみません。大丈夫です」
私はホッと胸を撫で下ろす。声をかけてくれた上条さんに心の中でお礼を言った。
「それでは白金さん、また」
「……」
……ああもう、本当に勘弁して欲しい。
私は一応会釈してからショップを後にした。