宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
* * *
「つ、疲れた……」
異動初日はとにかくドッと疲れた。
これも全部あの人のせいだ。
あの人があんなことさえ言わなければ、何も懸念することなく気持ち良く初日を終えられていたはずなのだ。
上司や同僚はみんないい人そうだし、セレブ挙式はまだまだ未知の世界だけど、どちらかというと楽しみな気持ちが大きかった。
本当にあの人にさえ会わなければ……。
ホテルベリが丘を出たところで、電話が鳴った。ダイヤモンドホテルの部長からだった。
「はい、白金です」
『あっ白金さん?お疲れ様です』
「部長ですか?お疲れ様です」
『お疲れ様。初日で疲れてるところ申し訳ないけど、今大丈夫かな?』
「はい、ちょうど退勤したところです」
『実は白金さんに謝らないといけないことがあって……』
電話越しでも何となくわかる。部長はとても申し訳なさそうにしていて何となく歯切れが悪い。
「どうしたんですか?」
『白金さんはうちの社宅に住んでいたよね』
「ええ」
『すまない!伝え忘れてたんだけど、異動になったから社宅も出て行かなきゃいけなかったみたいなんだ!』
「ええっ!?」
どうしてそんな大事なこと言い忘れてたの!?