宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


『一応ホテルベリが丘にも社宅はあるからそっちに移ってもらえたら大丈夫なんだけど、本当に申し訳ない。何とか交渉してしばらくはいてもらって大丈夫なんだが、それでも引っ越しはお願いしないといけないんだ』

「そうですか……」

『本当に申し訳ない』


 まあ、ベリが丘の社宅に移るだけなら引っ越し先を探す手間は省けるわけだし、いいか。
 すぐに次の住む場所を探してとっとと出ていけ、と言われているわけではないし。

 それにしても前もってちゃんと言って欲しかったとは思うけど。

 その後、部長からベリが丘の社宅に関してメールをもらった。その内容を見て思わず「えっ」と声を漏らしてしまう。

 今の社宅よりも家賃が高い。もちろん他の住宅からしたら安いとは思うが、今よりも一万円程高くなる。
 この差はかなり大きい。

 恐らくベリが丘の土地そのものが高い影響だとは思うが、なかなかに痛い出費だ。
 先月はあのバーで高いお酒を飲んでしまっているし、しばらくは節約生活だな、と落胆した。

 社宅とはいえベリが丘の住人になるのかと思うと不思議な気分だ。
 まあでも、それも悪くはないだろう。プチセレブになった気分を味わえる。

 そう思っていたのだが――。


「ええっ!?社宅に空きがない!?」


< 27 / 167 >

この作品をシェア

pagetop