宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
「――彼女は自分の連れです」
突然そっと肩に手を置かれていた。
びっくりして振り返るといつの間にか金剛さんがいた。
金剛さんが門の前にあるカードリーダーにカードを翳すと、ゆっくりと門が開く。
警備員も「お帰りなさいませ」と敬礼する。
「さあ行こうか」と金剛さんにエスコートされ、お城のような門を潜った。
「えっ!?な、なんで?」
「俺に用があったんじゃないのか」
「いやまあそうなんですけど」
「まさか君の方から会いに来てくれるとはな」
「何か勘違いしてます?仕事です」
「わかってるよ」
金剛さんはふ、と楽しそうに笑みを浮かべる。
今のやり取りで何故そんな風に笑えるのかわからない。
「ちょっと気分転換に出ていたんだよ。ちょうど会えてよかった」
「それは私も助かりました。すごいですね、ここだけ別世界みたい」
「そうかな」
立ち並ぶ家はどれも大きくて立派だ。まるでおとぎ話の世界に入り込んだ感覚さえ感じる。
「ここが自宅兼作業場」
そう言って案内されたのは真っ白で塗られ、均整の取れた外観が優雅さと品格の高さを示している戸建てだった。
玄関はかなり広々としており、吹き抜けから陽光がたっぷりと降り注ぐ。中の壁や床も一面真っ白で、陽光が反射して明るさと清潔感を演出していた。