宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
そう言った金剛さんは職人の目をしていた。
凛々しい真剣な表情に思わずドキッとしてしまう。
「そこでお願いがあるんだ」
「何でしょう?」
私は思わず前のめりになる。
ベリが丘に来てから初めて担当するお客様、それもかなりの大型案件。自分にできることは全部やりたいと思った。
「俺と結婚」
「それ以外でお願いします」
言い終わる前にバッサリ切った。
「つれないな。流石に冗談だよ」
「もう少し笑える冗談でお願いします」
「まあ半分本気だけど。それならここで一緒に暮らさないか?」
「……あのですね金剛さん」
はーーと大きく息を吐く。
「杉石様はベリが丘に来てから初めてのお客様なんです。プランナーとして真剣に晴れの日のお手伝いをさせていただきたいのです。
今だってお仕事であなたに会いに来ているんですよ?」
「わかってる。言っただろう、俺も仕事に手は抜きたくない。お互いの仕事を円滑に進めるための同棲だ」
「どういう意味ですか?」
「少し小耳に挟んだんだが、君社宅を追い出されるそうじゃないか」
「どうしてそのことを?」
「ホテルのことは多少なり耳に入ってくるんだよ」
そういえばこの人、うちのホテルの経営者の親族だった。