宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 私は身勝手にも少しだけ落胆していた。
 もしかしたら甘い言葉をかけられるかもしれないと、どこかで期待していたのかもしれない。

 何故自分だけを見て選んでくれたのかもしれないなんて、期待してしまったのだろう。


「……わかりました、私も腹を括ります。私にとっても都合が良いことには変わりないし、だったらとことん自分のために好きにさせていただきます」

「ああ」

「好条件で住まわせていただくんです。あなたとの結婚も検討してみます」

「本当か」

「但し、どんなに検討しても私の答えは変わらないと先に断言しておきます。即ちNO一択です」


 きっぱりと言い切る私に、何故か彼は目を細めて微笑む。


「それは楽しみだな」


 何が楽しみなのかわからないが、私の答えは変わらない。
 兎にも角にも仮の婚前同居が始まったのだった。


* * *


 まず、私は少なからず最低限の家事は行うつもりでいた。金剛さんが嫌でなければ洗濯、掃除でもなんでもやるつもりだった。
 料理は得意ではないけど、簡単なものなら作れる。そう思っていたのだが。


「家事?気にしなくていい、ハウスキーパーがやってくれるから」


 自宅には定期的にハウスキーパーが来ていて、不在の間に掃除をしてくれる。お掃除ロボットが二台もある。
 洗濯物は洗濯機に入れるだけで乾燥まで終わり、洗い終わったものはまとめてハウスキーパーさんがアイロンをかけて畳んでくれるそうだ。


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