宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 翌日の朝食は例のベーカリーで買ったフランスパンが残っていたので使わせてもらい、簡単だけどガーリックトーストを作った。
 他はサラダとスクランブルエッグにカフェオレ。まあ簡単だけどそれっぽい朝食になったんじゃないだろうか。


「すごい、豪華な朝食だ」

「大袈裟ですよ」

「いや、おかずがあるのがすごい。いつもフランスパンを焼いてバターを塗るだけで終わるんだ」

「この程度で良ければいつでも作ります」

「ありがとう」


 やたらと感動しているのでちょっと背中がムズムズする。本当に大したものじゃないんだけどな。


「金剛さんは料理されないんですか?」

「恥ずかしいが全くできない」

「そうなんですか」

「料理ができない男は嫌か?」

「えっ……」


 正直に言えばできるに越したことはないと思う。


「まあ、人には得意不得意がありますからね。私も別に得意じゃないので」

「なら少し勉強してみよう」

「えっ」

「今時女性が飯を作るなんて古いもんな」


 それはもしかして結婚した時のことを言っているのだろうか。
 この人は本当に私と結婚しようとしているのか。

 金剛さんは基本的にあまり表情が変わらない。
 常に真顔で淡々としているのに、突拍子もない言動をするから困惑する。

 掴めない人だと思いながら、初めて一緒に朝食を食べた。


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