宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
二人で寄り添い合って笑っている姿は本当に幸せそう。
向こうで楽しく元気にやっているんだって嬉しいのに、チクッと胸が痛む。
それがすごく嫌だと思った。
いい加減二人のことよかったね、って言いたいのに。未だに傷つく自分がものすごく嫌だ。
どうすれば私は前に進めるのだろう。
「買いすぎたな……」
雑念を振り払うかのようにあれもこれもカゴに入れていたら、なかなかの量になってしまった。
お酒も買ってしまった。
あの夜以来何となくあまり飲まないようにしていたけど、なんだか無意識に手が伸びていた。
「――結瑠?」
背後から声をかけられた。金剛さんだ。
「今帰りか?」
「はい、金剛さんもですか?」
「ああ。買い物していたのか?持とう」
私が答える間もなく買い物袋を持ってくれた。
「沢山買ったんだな」
「何だか買いすぎてしまって……ありがとうございます」
「もしかして夕飯も作ってくれようとしていたのか?」
まるでおもちゃをもらった子どものように瞳を輝かせる。
とても違う、とは言えない期待の眼差しを向けられてしまう。
「ええと……そうですね」
「本当か!ありがとう!すごく嬉しい」
本当に嬉しそうに顔を綻ばせるので、何だかソワソワしてしまう。また背中がムズムズするような変な感覚だ。