宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
「何度も言いますが期待しないでください」
「だが今日の朝食はすごく美味かった。特にスクランブルエッグの味付けは好みだった」
「そうですか?」
「結瑠の手料理がまた食べられるなんて嬉しい……あ」
「なんですか?」
「いや、完全に作ってもらうつもりで話してしまったが……夕飯は別々だったな。すまない」
大型犬が耳を垂らしてしょぼんとしているようだった。不覚にもかわいいと思ってしまった。
「……いいですよ。せっかく帰りが同じになったんだし、一緒に食べましょう」
「いいのか?」
「ええ。別々がいいと言ったのは自分のものは自分でどうにかしたいと思ったからで、一緒に食べるのが嫌なわけじゃないです」
「そうか、ありがとう」
わかりやすく表情が明るくなるのがまたかわいい。本当に大型犬みたいだなと思った。
「でも、俺の方こそ結瑠に甘えるわけにはいかないな。やっぱり俺も料理を覚えよう」
「できるんですか?」
「多分何とかなる」
まるで根拠のない自信だけど、何だからしいなと思って笑ってしまった。
「そこそこ期待してますね」
「……初めて会った時から思ったが、結瑠の笑顔はかわいいな」
「えっ!?」