宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
急に何なの!?
大型犬のように喜んだりしょぼれくれたりと素直な一面もあるのかと思えば、急に真顔で「男性」の表情になる。
この落差にはまだついていけない。
「な、なんですか急にっ」
「思ったことを言っただけだが」
「〜〜っ」
なんて返せばいいのかわからず、思わず顔を背けてしまう。
「照れているのか?」
「……」
「かわいいな」
「からかわないでください!」
「からかってない。結瑠がかわいいからかわいいと言っているだけだ」
「……っ、変わってますね、金剛さん」
「そうかな?我ながらいい趣味だと思うけど」
いや変わっている。
だっていつもかわいいのは優璃の方だったから。
同じ顔だけど、ふんわりしていて少し天然な優璃は性格からかわいいが滲み出ている。
特に碧と一緒にいる時の優璃はすごくかわいい。
素直になれなくて、幼馴染という関係を壊すのも怖くて何もできなかった私とは大違いなのだ。
そんな私をかわいいだなんて――おかしい。
自分でもわかってはいるけど、私は優璃に対するコンプレックスが強い。
かわいくて大好きな妹だし大切な存在だけど、いつも優璃と比べて私なんか、って思ってしまう。
こういう自分がすごく嫌い。
ものすごく嫌いだ。