宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
二人はこれからシンガポールへ旅立つ。
優璃は仕事を辞め、シンガポールに転勤が決まった碧について行く。
落ち着いたらシンガポールで新婚旅行を楽しむのだそうだ。
「碧、優璃のことよろしくね」
「もちろんだ。絶対幸せにする」
「泣かせたらシンガポールまで飛んで行くから」
「ははっ、おっかないな」
碧は私の初恋の人だった。
十年以上ずっと片想いをしていた。
一卵性双生児で当時はほとんど見分けがつかなかった私たちを、両親以外で完璧に見分けられたのが碧だった。
見分けた上で碧は私ではなく優璃を選んだ。
学生時代、冗談めいた口調で「同じ顔なんだから私でもよかったんじゃないの?」って言ったことがある。
だけど碧は笑いながらも真剣な口調で言い切った。
「優璃じゃなきゃダメなんだ」
わかってた。そんな碧だから十年もずっと好きだった。
二十五歳になっても初恋を引きずり、誰とも恋愛することなくここまできてしまった。
だけど、それも今日で終わり。
二人の結婚式をプロデュースし、無事に門出をお祝いすることでやっとこの初恋に区切りを付けられる。