宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 次に作る時は時短レシピじゃなく、もう少し手の込んだものを作れるようにしようと思った。


「ありがとう。すごく嬉しいけど、結瑠も忙しいんだから無理しなくていい」

「一人暮らしの時もたまに自炊してたので大丈夫ですよ」

「でも杉石さんの相手大変だろう?なんていうか、ものすごくエネルギッシュで」

「ああ……まあ、そうですね」


 確かに杉石様は親子揃ってものすごくエネルギッシュだ。打ち合わせの時は毎回お父様も出席されるし、式の話だけでなく若い頃の自慢話とか沙耶香様の昔話とか。
 打ち合わせでなく、ただ杉石様のお話を聞いて終わることもある。


「あまり時間がないはずなんですが、なかなか先に進まないですね……」

「容易に想像がつくな」

「金剛さんは杉石様とのお付き合いは長いんですか?」

「長いと言ってもここ二年くらいかな。奥さんの実家が宝石商で大の宝石好きでな。奥さんが俺のデザインしたネックレスを買ってくれたのがきっかけで、色々贔屓にしてくれている」

「そうなんですね」

「結瑠のおかげで良いデザインが作れそうだよ」

「私ですか?」

「結瑠が来てくれてから仕事と寝るだけだったこの家が明るくなった気がするんだ」


 そうだろうか?まだ同居して二日目だし、この綺麗で立派なお家を汚さないように気を遣っているだけなのだが。


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