宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


「ねーこんごうさん、がっかりしました?」

「いや……」


 むしろより一層君に惹かれている。
 君を知る度に心惹かれて身を焦がすような思いに駆られる。

 こんなことは今まで生きてきて初めてだ。

 ふと、ちょっとしたことを思いついた。
 いつもよりも酔ってふにゃっとしている結瑠なら、聞いてくれるかもしれないと思った。


「よかったら名前で呼んでくれないか」

「名前?」

「仕事じゃない時は、下の名前で呼んで欲しい」


 じ、と結瑠の少し潤んだ愛らしい瞳を見つめる。
 こんなことを言ってみたが、結瑠は俺の下の名前など覚えているだろうか。


「……たからさん?」

「っ!」


 想像を絶する破壊力に思わずワインを咽せそうになってしまった。
 女性に下の名前で呼ばれて、こんなに気持ちが昂揚したことなどなかった。

 何故なんだ。
 どうして結瑠はこんなにも俺の心を揺さぶるのだろう。


「こ、これからはそう呼んでくれると嬉しい……」

「わかりました〜」


 軽い調子で返事をしてまたワインをグラスに注ぐ。
 そろそろやめさせた方がいいなと思った。


「結瑠、そこまでにしないか。明日は休みだけど、飲み過ぎは良くない」

「飲みたい気分なんですよ〜。わたし、最低なんです……」

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