宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
自分のことは自分でやるという、真面目でしっかりとしたところも好ましいと思った。
これまで俺に近づく女は金剛グループの御曹司という肩書きに惹かれる者ばかりだったが、結瑠は決して甘えようとしない。
真面目すぎて頑固なところもかわいいと思う。
仕事に対しても真面目で、あの杉石さん相手に根気強く相手しているようだ。
結瑠の色んな一面を知る度にもっと知りたいと思った。
そして彼女はずっと傷つき続けていたことを知った。
愛した男は妹の夫になっただなんて、きっと苦しかったに決まっている。
それでも結瑠は二人を羨むことはなく、素直に祝福できない自分が嫌だと言った。
なんていじらしいのだと思った。
「……俺なら結瑠にあんな顔させない」
結瑠に結婚する気がないのは、もしかしたら傷つくのを恐れているからなのかもしれないと思った。
大好きな人に振り向いてもらえなくて、選ばれたのは顔の似ている妹で。
ずっと自分と妹を比べて自分をすり減らし続けていたから、もう傷つきたくないのかもしれない。
「……っ、みどり……」
寝ているはずの結瑠から声が漏れ出た。
ハッとして結瑠の顔を覗き込むと、一筋の涙が頬に伝っていた。