宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
「君は眠りながらも、その男を想っているのか……」
結瑠の切ない寝言を聞いて、湧き上がる程の激しい感情で体中が熱くなる。
嫉妬だった。
結瑠には眠っている間ですら思い出し、涙する程焦がれる男がいるのだという事実に激しい嫉妬心が湧き上がった。
こんな感情も初めてだった。
そんな男のことなんか忘れて欲しい。
もう結瑠には傷ついて泣いて欲しくない。
「俺が忘れさせてやる」
結瑠の涙を拭い取り、瞼にキスを落とす。
俺のことだけ見て欲しい。絶対に後悔はさせないし、結瑠が望むことなら何でも叶えてやりたい。
結瑠と出会ってからずっと結瑠のことばかり考えてしまう。
だけど、結瑠の望むことが何かわからないなと思った。
結婚は拒否しているが、それは諦めるつもりはないし。
家事は面倒だろうし気を遣わなくていいという意味で何もしなくていいと言ったが、逆に気を遣わせてしまったようだ。
むしろ料理を作ってもらっているのは俺の方だし。
今更結瑠の言っていた「お互いに何も知らない」はこういうことかと理解した。
確かに結瑠の好きなもの一つ知らない。結瑠が何をしたら喜んでくれるのかもわからない。
でも、知らないなら知ればいいだけだ。
もっとちゃんと結瑠のことを知りたい。俺のことも知って欲しい。
そして願わくば、結瑠の瞳に映るのが俺であって欲しい。
「……っ、これが恋か――」
今更ながら気付かされる、俺は結瑠に恋をしているのだと。