宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
何を言い出すのこの人は……!
絶対に違うと言いたいけれど、記憶がない。
マミちゃん曰く酔っ払った私はいつもよりふにゃふにゃになるらしいし、ポロッと言った可能性があるのかも。
「ちなみにテーブルに突っ伏して寝た君を運んだのは俺だ。起こしても全く起きなくてな」
「うっ」
やっぱり迷惑をかけていたようだ……。
「ご迷惑をおかけしました……」
「別に迷惑なんかじゃない。だが他の男がいる前で酒は飲まないで欲しいな」
「はい?」
「まあとにかく、迷惑じゃないけど約束を反故にされるのは悲しい」
そう言って金剛さんはじ、と私を見つめる。まるでご褒美を待っている子犬のようだ。
この人は本当に、こういうところがずるいと思う。
「……宝さん」
「よくできました」
金剛さん、いや宝さんは嬉しそうに微笑む。
よくできました、なんて言うくせに満足そうなしてやったり感がなく、純粋に嬉しそうにするのがずるい。
「ついでに敬語もやめないか?」
「ええ……私の方が年下ですよ」
「いいじゃないか。夫婦になったらそんなの関係ない」
「夫婦にはなりません」
「ははは、乗ってはくれないか」
なんでこの人、こんなに楽しそうなんだろう。
宝さんと出会ってからずっと掻き乱されてばかりで、何気ない笑顔にキュンとするようになってしまった。