宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
私は何となく気づいている。
彼の私を見る目が優しくて甘やかで、時々情熱を孕んでいること。あの一夜と同じように、大切なものを見るような目で私を見つめてくれることに。
でも、気づかないフリをした。
気づいているのに気づかないフリをして、目を逸らした。
「ところで結瑠、今日の予定は?」
「え?特にありませんけど」
「ならデートしないか?」
「はい?」
本当にこの人は急に突拍子もないことを言い出す。
「なんでですか?てゆーか宝さんは仕事じゃないんですか?」
「有給にした」
「いいんですか?」
「有給余ってるしたまにはいいだろ。ティアラのラフはできたけど、その他アクセサリー一色、それに会場用の装飾まで作らなきゃいけないからな。
頭がパンクしそうだから息抜きしたい」
それを言われると弱い。
これはつい最近の打ち合わせで、新婦の沙耶香様が言い出したことだった。
『式場も披露宴会場もジュエリーで飾りたいわ!絶対綺麗だと思わない?』
『流石沙耶香、素晴らしいアイデアだな。白金さん、会場の装飾も頼めるかい?もちろん宝くんのジュエリーで』
沙耶香様は急な思いつきで発言する上に、娘に激甘な杉石社長は絶対に否定しない。むしろ大乗り気だし、どんなことでも可能にしてしまう財力がある。
スケジュール的に厳しいかもしれないと断りを入れつつ、結局宝さんに引き受けてもらうことになった。