宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
結婚式に出席するため、黒いドレスをまとっていたから、スタッフと聞いて驚かれるのも無理はない。
「実は妹の結婚式だったのです」
「そうか、それはめでたい。そうじゃお嬢さん、これをあげよう」
ご老人が差し出したのは、VIPと書かれたゴールドのカードだった。
「これがあればベリが丘のツインタワーにあるVIPエリアに入れるぞ」
「えっ、でも」
「助けてくれたお礼じゃ。もうじき迎えが来るので大丈夫じゃよ。ありがとう、お嬢さん」
ご老人は顔のしわを一層深めてにっこりと笑った。
なんだか申し訳ない気がしたけど、自分には必要ないものだからと言うので戸惑いながらもいただくことにした。
ベリが丘というのは、ダイヤモンドホテルの最寄駅と同じ路線にある街だ。
古くから富裕層が集まり、格式高い街として有名で最近は近隣エリアの開発が進んでいる。
そのベリが丘のシンボルとも言えるのがツインタワーで、高層階にはVIP専用の高級レストランやラウンジがある。
私のような一般人では絶対に入れない場所だ。
そのVIPカードを持っているなんて、あのおじいさんは何者だったのだろう?