宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
何だか墓穴を掘ったような気がした。
ある意味であの夜が特別だったことには間違いないけれど。
「別に特別って言っても深い意味はないですからね?ツインタワーのVIPエリアなんて普段は入れないからって意味ですから」
「それでもいい。結瑠にとっての特別だったことに変わりはない。特別な日に一緒にいられたのが俺でよかった」
「……」
「もしかして照れてる?」
「……照れてません」
「かわいいな」
「照れてないしかわいくないっ!こっち見ないで!」
宝さんがニヤニヤして顔を覗き込もうとするから思わずタメ口になってしまった。
なのに宝さんはますますニコニコしている。
「タメ口いいな」
「これはっ、宝さんがからかうから……!」
「別にからかってない。本当にかわいいと思ってるだけだ」
「だからぁ、そういうところですよ……」
「ん?」
天然なのかわざとなのか、絶妙にわからないところが憎らしい。
宝さんと一緒にいるとムズムズしたりソワソワしたり、今まで味わったことのない感覚ばかりで落ち着かない。
私の恋愛経験がなさすぎるからなのか、相手が宝さんだからなのかはわからない。
でも、不思議と嫌じゃない。
まだまだ極寒の寒さが続く真冬だというのに、心の奥はポカポカと温かいような気がした。