宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
6.絡み合う糸
それからの同居生活は驚くべきことにとても順調だった。
最初こそ不安でいっぱいだったけれど、今では一緒に料理をするまでになっている。
宝さんは本当に料理を頑張るようになり、真剣な表情でキッチンに立つ姿に感化されて私も料理を頑張るようになった。
自然と早く帰宅した方が夕飯を用意するようになり、後から帰宅した方が手伝う。休みが合う時は二人でキッチンに立つこともある。
「新婚みたいだな」
そう言われた時は否定できなかった。
確かに新婚みたいなことをしていると私も思っていたから。
もちろん口では肯定しなかったけど。
宝さんの元ある生活に私がお邪魔してしまうと思っていたが、宝さんは本当に私が過ごしやすいようにと考えて配慮してくれていた。
強引な人だと思いきや、とても優しくて良い人なのだとこの数日で実感している。
はっきり言って一人暮らしの生活よりも今が楽しい。
一人の時間も好きだけど、宝さんと話している時間も楽しかった。それこそ初めて会った時と同じように、彼とは意外に話が合う。
特に仕事への向き合い方は尊敬できた。
「これはお色直し用のティアラだが、全体的にピンクゴールドを使っていて、中央にはピンクサファイアを施している」
「かわいい!すごくかわいいですね!」
「沙耶香さんがピンク好きだからな。それからコスモスの花が好きだとも聞いているから、ピンクサファイアを取り巻いているのはコスモスだ」