宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 それは私もとても気にしているところだった。


「新郎の隼人様はあまりご自分の意見を言われないんです。いつも沙耶香様の好きな方でいい、と仰るばかりで。最近は打ち合わせにも来られませんし……」

「新郎なのにか?」

「はい。杉石社長はほぼ毎回ご一緒されるんですけど」


 隼人様は見るからに大人しそうな方だし婿養子ということもあるのか、常に控えめだ。
 結婚式の主役は花嫁だけではないし、隼人様の要望があれば聞きたいと思っているけど、「自分はなんでもいい、沙耶香さんの好きな方でいい」としか言わない。


「ご本人が納得されてるならいいんですけどね」

「まあ確かにな。後は花嫁と花婿の席の前に何か置物があったら華やかになるんじゃないかな」

「良いですね」


 こんな感じで仕事の話も順調に進んでいる。
 ひとまず一旦打ち合わせは終了とし、私はホテルに戻ることにした。


「事務作業があるのでホテルに戻ります。それから今日は後輩と飲みに行くから夕飯は各自でお願いできる?」

「わかった。あまり飲み過ぎないようにな」

「大丈夫」


 そしてもう一つ大きく変わったこと、それはプライベートの時は敬語で話さなくなったことだ。
 最初は抵抗あったけど、なんか段々とくだけた口調になっていき、いつの間にかタメ口で自然と話せるようになっていた。


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