宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 めかし込んでいざツインタワーへと向かった。
 カードを見せると、お待ちしてましたと言わんばかりに恭しくお辞儀された。

 本当は身分不相応なのに、何だか不思議だけど優越感に浸れる。
 たまには非日常を味わうのも良いかもしれない。結婚式までずっとバタバタしてゆっくりする暇もなかったし、それこそご褒美だと思えば良い。


「……初恋ともお別れだしね」


 私が入ったのは高層階にあるバーだった。
 ムーディーで高級感のある雰囲気が、入った瞬間から非日常な世界へと誘う。

 今はクリスマスシーズンだから街中や公園はイルミネーションで彩られていた。
 こんなに美しい夜景を見ながらお酒を飲むなんて、なんて贅沢なのだろう。


「赤ワインをお願いします」


 とりあえず一杯目はワインを頼んだ。
 グラスに注がれた瞬間から芳醇な香りが漂ってくる。ワイン通ぶって香りを嗅いでから、一口含んだ。


「……美味しい」


 一口だけでわかる、深くて濃厚な味わい。あっという間に飲み干してしまう。
 もう一杯頼もうという時、一人の男性がバーに入ってきた。ダークブラウンの髪をツーブロックと前髪はセンターパートにし、清潔感が溢れ出ている。

 それでいて全体的にスパイラルパーマをかけて遊ばせているからなのか、オシャレな躍動感と男らしい色気も感じられる。


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