宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
「流石にそこまでしなくていいから!」
「でも」
「今日はたまたまよっ。酔っ払いが多い時間帯だから絡まれただけ!」
「違う」
違うって何が?
ハテナを浮かべる私の目を真っ直ぐ見て、宝さんは大真面目に言った。
「結瑠が綺麗で魅力的だから男が寄ってくるんだろう」
「な……っ」
一瞬にしてボッと顔に火が灯る。
「何を言い出すの!?」
「こんなに顔を赤くして……酒のせいか?こんな顔で一人でいたら変な虫が寄りつく」
スッと頬に触れられてもっと体温が上昇する。
顔が赤いのはお酒のせいだけではないと思う。
「〜っ、もう!いいから早く帰りましょ!」
触れられた頬がどんどん熱を帯びてゆく。熱った顔を見られたくなくて背を向けてしまった。
ドキンドキンと心臓の鼓動がうるさくて、宝さんに聞こえてしまわないかとハラハラした。
その時だ。
「――きゃっ!?」
突然背後からぎゅうっと抱きしめられた。
宝さんに後ろから抱きしめられていると気づくまで、数秒かかった。
「た、宝さん!?」
「……結瑠が俺のものになってくれたら、こんな歯痒い思いはしないのかな」
「え……?」
「他の男が言い寄ってる姿を見るだけで身を焦がすような思いがするのに、それを止める権利がない」
「え?でもさっきは助けてくれて……」
「結瑠が拒まなかったら俺にはそれを止める権利がないんだ。誰にも奪われたくないのに」
「……っ」