宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 鼓動はどんどん速まって高ぶっていく。
 どうしよう、ドキドキしすぎてどうしていいかわからない――。

『結瑠先輩のことめっちゃ好きなんですね〜』

 マミちゃんの言っていた言葉が脳裏によみがえる。

 流石の私もそうなんじゃないかと思ってしまった。

 宝さんの気持ちが知りたい。
 でも、知ったところでどうすればいいの――?


「……帰ろうか」


 急にパッと離された。


「すまない、寒かっただろう?車の暖房入れっぱなしにしてあるから」

「あ……」


 近くに停めてあった車に乗り込もうとする宝さんを見て、離れてしまったことへの寂しさと残念さに駆られていた。
 もっとあのままでいたかったなんて思っている自分がいる。

 自分自身に戸惑いながら、私も助手席に座った。
 シートベルトを締めようとするけど、手が(かじか)んで上手くできない。何度も引っ張っていると、宝さんがやってくれた。

 カチャリ、とベルトが締まる音がした。


「あ、ありがとう……」


 ハッと顔を上げて、目と鼻の先に宝さんの綺麗な顔があることに気づく。
 あと数センチ近づけば唇が触れてしまう距離。


「……あ、ごめんなさい」


 思わずパッと顔を背けた、その直後。


「――ん……っ」


 背けた顔を強引に向けさせられたと思ったら、私は宝さんにキスされていた。


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