宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 やだもう、どうしたらいいかわからない。

 どうして拒まなかったのかなんて、宝さんがあんなキスするからじゃない……っ!

 恋愛ドラマみたいなとろけるような甘いキス。いつもは強引なくせに私を慈しむような優しさを感じられて、アレを拒める人はいるのだろうか。

 まだ私の唇には生々しい程はっきりと、彼の唇の余韻が残っている。

 宝さんってキスが上手い気がする。他の人のキスを知らないから比較対象がいないけど。
 やっぱり慣れているのだろうか。

 なんて考えてまた思い出しては、再びかあっと全身が熱くなって。
 それと同時に慣れているのは女性経験が多いからなのだと思うと、言い様のない複雑な思いが燻る。

 ショックを受けたって仕方ないのに。経験値の差はどうしようもない。
 そもそも私、なんでショックなんて受けてるの――?


「……る、結瑠」

「えっ!?」

「電話鳴ってないか?」

「あっ」


 言われてスマホがブーブーとバイブ音とともに震えていることに気づき、慌てて通話をタップした。


「はいっ、もしもし!――ええっ!?」


 その電話は今までのことが一瞬で吹き飛ぶくらいに衝撃的なものだった。


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