私が一番近かったのに…
そう言って、パソコンをカチカチし、すぐに確認が取れたみたいだ。

「本日、二名様でご予約頂いております。ご帰宅は明後日となっておりますが、ご予約内容にお間違いないでしょうか?」

「大丈夫です。問題ないです」

「畏まりました。岩城様、本日はお越しくださりありがとうございます。二名様、ご案内させて頂きます」

お部屋へと案内されるまでの間、外出時や退室する際の注意点などの説明を受けた。
私は話半分で聞いていたため、全て愁に任せっきりとなってしまった。
こういう時、愁はちゃんと話を聞いているので、とても頼りになるなと感心した。

「それでは、ごゆっくりとお寛ぎくださいませ」

どうやら説明は終わったみたいだ。やっと部屋の中へ入れる。

「ここみたいだぞ」

このホテルは九階まである。私達に用意されたお部屋は、七階の三号室…。

「お邪魔します…」

愁が鍵で開錠し、扉を開けてくれた。

「すごい。綺麗なお部屋…」

お部屋の中へ入ると、そこは広くて、とても綺麗なお部屋だった。
しかも、お風呂やトイレまで付いている。

「喜んでくれてよかった。頑張って綺麗な部屋を探した甲斐があった」

こんなに綺麗なお部屋、きっとお高いに違いない。
当初、ホテル代も割り勘という話になっていた。それなのに突然、ホテル代は全部、自分で支払うと、愁は言った。
最初は遠慮したが、ここは素直に甘えてみようと思い、支払ってもらうことにした。
なので、私は交通費だけしかお金を出していない。もちろん、お土産代などは自腹だが…。
贅沢だよ。こんなに素敵なお部屋に、タダで泊まれるなんて…。

「嬉しい。愁、ありがとう」

嬉しさのあまり、愁に抱きついてしまった。
こんなに素敵なサプライズが用意されていたら、喜ばずにはいられない。

「お礼は身体で払ってもらうっていう約束だから、今夜が楽しみだな」
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