私が一番近かったのに…
「相変わらず、キスだけで甘く蕩けちゃうんだな。
そんな顔されたら、もう止まらない…」

いつもより長めにキスされた。
愁とのキスは、キスだけで蕩けてしまう。

「なぁ、そろそろいいか?」

私は黙って首を縦に頷いた。
それをオッケーサインだと受け取った愁は、準備をし始めた。

「幸奈、ありがとう。抱くぞ」

そして、愁はいきなり私を激しく抱いた。手加減なんて一切なく、私はそんな愁を受け入れることしかできなかった。
その日の愁は止まることはなかった。狂ったように何度も私を求め続けた。
さすがにやり過ぎて疲れたので、最後はお互いに意識を手放し、そのまま眠りに落ちた。


           ◇


「…んん……」

身体が気怠い。起き上がれそうにない。
隣で眠る愁の横顔を見て気づいた。そうだ、昨日はそのまま眠ってしまったのだと…。
それでも身体を無理矢理起こし、シャワールームへと向かった。

軽くシャワーを浴び、湯船に浸かった。
そういえば、今、何時だろう?朝なのか、それとも、まだ深夜なのかさえ分からない。
時間なんてどうでもいいほど、まだ眠かった。
このままでは浴槽で眠ってしまいそうだったので、軽めに済ませて、愁の眠るベッドの隣で、再び眠りについた。
ぐっすりと眠れた。朝日が差し込み、やがて今度は、愁が私を起こす声が聞こえてきた。
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