私が一番近かったのに…
「べ、別に消されても構わないけど…。でも、何で見ている前提なんだ?」

「それじゃ逆に聞きますけど、愁はそういうの見ないの?見てないなら、別の策を考えるけど」

ついに愁は言葉に詰まった。見ていることを認めたみたいだ。

「俺だって男だから、そういう動画は見るよ。でも、別に動画を消されても何も問題はねーし」

不貞腐れてる。見ていることを認めさせられたことが、相当悔しいみたいだ。
よっぽど、お気に入りの動画があるみたいだ。

「見られたらマズい動画でもあるの?」

露骨に嫌がるってことは、そういうことだよね?
やましいことがなければ、ここまであからさまな態度はとらないはず。

「別にないけど、俺も一応男だから、それなりに過激なものも見てたりするから、恥ずかしいんだよ。もういいだろう?この辺で勘弁してくれ」

仕方ない。これ以上踏み込むのはあまりにも可哀想なので、この辺で勘弁してあげることにした。

「仕方ないから、今回はこの辺にしておいておげる。でも、次はないってこと、肝に銘じておいてね?」

唾を飲む音がした。どうやらよっぽど、見られたくないものがあるみたいだ。
逆にどんな内容なのか気になる。そんなに見られたくないものなの?それとも単に恥ずかしいだけ?
この件に関しては今度、じっくり聞いてみることにしよう。
< 169 / 346 >

この作品をシェア

pagetop