私が一番近かったのに…

7章:一番近くに...

私は一泊二日の一人旅を満喫したので、自宅へと帰宅した。
旅行自体は目的もなく、自由気ままに旅をした。
適当な駅で降りては、街並みを散策し、ひとしきり楽しんだ後、近くのホテルに泊まった。
久しぶりにぐっすり眠ることができた。そのお陰で、気分も変わってスッキリし、気持ちが明るくなった。

帰宅し、家に戻ると、手紙に書いた通りに、愁はポストに鍵を投函しておいてくれていた。
ベッドも綺麗に整頓されており、何事もなかったかのように、痕跡が一つも残されていなかった。
どっと疲れが押し寄せてきて、急に喪失感が私を襲った。
ここに愁が居たのだと思うと、私の心の中はどんどん荒れていった…。
旅行をしている間は、知らない土地にいたからこそ、一瞬でもあなたを忘れることができた。
でも、ここに戻ってきた途端、一気に心が落ち着かなくなった。
ここに居たらダメだ。気持ちを上手く切り替えよう。
アルバイトも辞めたことだし、暫くの間は時間がある。
もちろん、ちゃんと大学に通い、勉強もする。
でも今まで遊んでこれなかった分も、遊ぶことにした。
幸い貯金はあるので、当分はお金に困らないはず…。

少し休んだら、新しいアルバイト先でも見つけてみようと思う。
次はカフェで働いてみたいな。なんだか楽しそうだ。
それに、素敵な男性にも出会えそうな予感。

そうだ。これを機に、友達に合コンにでも誘ってもらおうかな。
今までバイトが忙しいからと、適当な理由をつけて断ってきたが、今は好きな人もいないし、これは新しい恋へ進むチャンスでもある。
早く愁のことを忘れるためにも、新しい出会いには積極的に参加してみようと思う。
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