私が一番近かったのに…
やっと気持ちが通じ合えた。今なら言える気がする。私の素直な気持ちを…。

「俺が間違っていたんだ。だからもう一度、今度は俺の彼女として、俺の一番近くに居てくれませんか?」

もちろん答えは一つ。私の気持ちはずっと変わらない…。

「今度こそ、私をあなたの一番近くに居させてください。こちらこそ、よろしくお願いします」

愁の手を握った。言葉だけじゃ足りない。もっと想いを伝えたかった。

「…よかった。オッケーしてくれるかどうか、ずっと不安だったんだ。
幸奈が俺の彼女になってくれたことが、凄く嬉しい」

私だって、とても嬉しい。やっと愁の彼女になれたのだから。
こんな幸せな時間がずっと続けばいいのに…って、思った。

「俺が望む条件は、俺の彼女になってほしいってことだったんだ。
なってもらえるかどうか分からなかったけど、もし彼女になってもらえたら、俺はもう幸奈以外は何も要らないって思ったんだ」

私だってそうだ。愁が私の彼氏になった。もうそれだけで充分、満足で。他に何も要らない。

「条件にしなくたって、私にとっては、願ったり叶ったりだよ。嬉しい。やっと愁の彼女になれたことが…」

お互いに幸せすぎて、ずっと満面の笑みが止まらなかった。

「そういえば、あの子とは一体、どんな関係だったの?」

良いムードに流されそうになったが、結局のところ、真実をまだ明かされていない。
付き合っていないということは、フリをしていたということになる。
彼女の様子から察するに、彼女は最初から本気だったのだと思う。
しかし、フリを続けていくうちに、気持ちがどんどん重くなっていき、フリだけではいられなくなってしまった。
だとしたら、巻き込まれた彼女は、本当に可哀想だ。
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